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インド綿花産業と農薬

Cotton and Pesticides in India

2010/11/09

Journeyman Pictures: 100% Cotton - India)

害虫を殺すべき農薬が、農民たちを殺している。そんな現実が、インドの綿花農家にはあります。

White Golldと呼ばれる綿花の栽培は南インドで行われています。多くの農民は、穀物や野菜よりも利益のある綿花栽培へと移行し、その収穫に依存するようになりました。

綿花栽培に欠かせないのが害虫駆除の農薬。ところが、害虫はすぐに免疫力をつけてしまうので全く効果がありません。そして綿花がだめになってしまうのです。より高い効果を期待し、農民たちは規定量の倍以上の量を使用しています。

マスクや防護服なしでの農薬散布は、人体にとって大変有害なものです。また、農薬は穀物畑にも飛んでいってしまうため、綿花だけでなく食べ物にも混入してしまいます。また、綿花栽培の適切な知識がない農民たちは、害虫の被害を受けない時期でも農薬を使用します。繊維が農薬を吸い込んでしまうため、育った綿花には農薬をかけるべきではありませんが、農民たちはそんなことも全く知りません。

何時間も農薬をまいては、めまいを感じ、舌の感覚がマヒし、吐き気がひどく食欲がないというのが毎日のこと。貴重な水を無駄にしないため、 夜に冷たい水で体をさっと洗いますが、冷たい水では農薬は洗い流されません。


Warangal(ワランガル)の病院の集中治療室では、農民たちが瀕死状態にあります。十分な研究用費用もないため、農薬の影響による長期的な健康被害はまだ多くがわかっていませんが、先天奇形やガン患者の増加は見られてるとのころ。農薬にさらされた生活を送る農民たちは常に健康被害を抱えていますが、交通手段の欠如なども合わせ、医者の診察・治療を受けられるのはわずかです。

綿花畑ほど多くの農薬を使用する場所はありません。Monocrotophos、Emporet、ETRなどの、ヨーロッパでは何年も前から使用が禁止されている危険な農薬が、インドでは今でも販売されています。農民たちには、農薬の容器に示されるドクロが何を意味するのか見当もつきません。Novartis、Dupont、Bayerといった大手の化学品会社は生産拠点を需要のあるインドに移しました。

ヨーロッパで廃止されたBayerの農薬はインドのVapi で生産されています。3分の1の農薬は大変危険とされるレベルのものですが、この産業汚水は地域の下水処理場に流されています。もちろん、産業廃棄物用に建てられたものではありません。この安全基準の甘さゆえ、この地域はすっかり汚染されてしまっています。


効果の高いとされる新しい農薬は常に市場に入ってきますが、害虫には免疫がついてしまうため、農民たちは常により新しい、高価な農薬を借金をして購入しています。綿花農業を始めた農民たちはこの悪循環にはまってしまい、そして、返せないほど膨れ上がってしまった借金苦に、毎年数千・数万人の人々が農薬を飲んで自殺しているのです。

この地域の農民たちは、何カ月も育てた大切な綿花をWarangal(ワランガル)のコットンマーケットに持ち込みます。しかし、ここには標準価格などはなく、世界の市場状況により価格は毎朝変動します。綿花農家の増加や国際競争にともない、原料である綿花の価格は下がる一方。 6ヶ月の労働の結果はたったの20ユーロ。

Warangal(ワランガル)のコットンマーケットから、綿花はその後Tirupur(ティルプール)に移され、種を取り除くなどして繊維にされます。もちろん、まだ大量の農薬が付着したままです。有機リン残留物は最低2ヶ月は繊維の中に残り、有機塩素化合物は一生繊維から消えることはありません。

労働者たちは呼吸のたびにコットンの粒子を吸い込んでしまい、失神の発作やめまいを常にかかえているのです。鼻を突く強烈なにおいに囲まれ、農民と同じように口は渇き、舌の感覚はマヒし、常に吐き気を感じています。


脱色・染色にはさらに多くの化学薬品が使用されます。ここでも、労働者たちは有害な化学薬品に皮膚を直にさらし、塩素ガスのような強烈なにおいにつつまれながら働き続けています。彼らの平均寿命はたったの35歳。このような脱色・染色の後に残るのは、有害な産業廃水。この工場だけでも毎日150,000リットルもの水を使います。

産業廃水処理施設はドイツからの開発援助金によって建てられましたが、あまりの有害物質の多さに浄化しきれない処理後の水には、1リットル中に3gもの塩素が残ったまま。女性が素手でつかんでいる有害な下水汚泥は、誰も適切な処理方法がわかりません。町を流れる川もすっかり汚染されてしまっています。

地下水も川の水もとても飲み水としては使えません。そのため、住民たちは月に2回、配給制できれいな水を受け取っています。紡績工場で12時間も働いたのち、何時間も水の配給を待つのは大変な重労働です。

「蛇口から出てくる水は洗濯にしか使いません。飲料水はとても高価ですが買わなければなりません。私のお給料の1/3は水だけで消えてしまいます。」


毎日10~12時間も輸出用の繊維製品の検査をして稼ぐことができるのはたったの2ユーロ。農薬に汚染された綿花の繊維が舞ってしまうので、マスクなしで働く女性たちも常に頭痛を抱え、呼吸困難や吐き気に苦しんでいます。

H&Mなどの企業では最も危険な化学薬品の除去は試みられていますが、特にコットン商品ではあまりにもありとあらゆる農薬が使用されているため、規制が緩くなっています。つまり、いくら検査済みであっても、有害な農薬が残っていないというわけではないということです。そして、これらの有害な化学成分は繊維に何カ月も残っているのです。Walmart、Eastman、C&A、Metro、H&Mをはじめとした多くの企業がTirupur(ティルプール)の繊維を使用しています。


ヨーロッパでも、衣類に残る有害な化学物質の危険性はまだ十分に調査されたとはいえません。人体への危険が証明されてはじめて、そういった成分は使用禁止になります。

H&Mでも繊維の検査を行い、あまりに多くの有害物質が残っている場合には販売を中止しています。しかしながら、この「危険残留物質リスト」には冒頭で農民が綿花にスプレーしていたMonocrotophosがありません。


インドでもオーガニックコットンは栽培されていますが、世界中で使用されているコットンのうち、たったの4%がオーガニックコットン。

有害な農薬の被害はインドの農民や環境を苦しめ、残留農薬は消費者の皮膚まで届くのです。

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